昨日と今日の二日間、地獄絵巻のような時間を過ごした。
胃を除く全ての体の構造が、食べまくれと叫んでいた。
心は必死で拒み、胃壁は限界まで伸びきって、遂には
戻してしまうことすらあったけど、私は食べ物を取り込み続けた。
パンやクレープ、とにかく早くエネルギーに変わるものを
無意識に選択していたような気がする。
昨日の夕方、私は泣いて家を飛び出した。
母との揉めあいがようやく収まろうとする頃、私は突拍子もなく
ダイエットを決意させた彼女のある発言を思い出したからだ。
忘れようとしても忘れられないし、忘れまいとも思う。
単純に恨み辛みで済ませられることではない。
はっきり言って、母に対してはもっと異質の「憎悪」すら覚えている。
そしてそのことから必死で目を逸らそうとして、いよいよ私は
壊れていくばかりだったのかもしれない。
私はあの日、ウキウキ気分で彼女をブティックへと連れて行った。
そこは当時私が運命的な出会いを果たしたばかりの、とても素敵なデザインを扱う
ニューブランドの店舗だった。
母は目を丸くして商品を見ていたが、私と新商品について盛り上がっていた店員さんに、言った。
「この子、チビでブタやから・・・この子でも履けるスカートないの?」
それは別に間違っているわけでもなかった。
彼女はいつでも正論を大切にするし、それによって誰かを傷つけたり
あるいは自らが傷つくことを、決して恐れなった。
それは十分理解していたはずなのに、悔しさはともかく
どうしてだか私は不条理なものすら感じていた。
涙をかみ殺した。
痩せて、痩せきって。
その先は・・・?
本当は、こんなに辛い時間を過ごすくらいなら、
飢え死にしてもよかった。
死にたかった。
体重計に囚われたままの私は、ついに41kgになりました。
それでも鏡を見れば、鳥ガラだの骸骨だのとなじられた、
目を落ち窪ませ肋骨をくっきりと浮かばせた、
お腹ぽっこりの28kgの妖怪がそこにいる。
もはやそれは幻に過ぎないというのに。
寒くて、ひもじくて、眠くてしょうがなくなる。
もはやそれは妄想に過ぎないというのに。
昨夜終電を逃した私は、とある深夜営業の喫茶店に腰掛けて
「遺書」を書いてみました。
妖怪ガイコツが、妖怪脂肪塊に宛てた、最期の言葉です。
何を書いたのかは思い出せないけど、時を感じたときに
封を切ってみるつもりです。
それはともかく、私は生きなければなりません。
体は生きたがったいるのです。
死にたくないと叫んでいる。
明日からの三日間は、外出と運動の一切を控え、
玄米菜食とストレスフリーを心がける期間とします。
体は心の器だ。
否応なしに、気持ちは150cm
弱の牢獄に閉じ込められている。
早くここから解放してほしいと叫
ぶわりには、鏡に映った入れ物の
様子をみようとしない。
心は元々貧相なもので、いつも
「ストレス」を自分で作り出す。
でも、それを恥じる必要はないん
だ、と思った。
自分を信じてあげればいい。
二つのものが一つになれば、その
他多数の世界の声が聞こえてく
る。
輝く人って、そんな人のことを指
すんじゃないのかな。